「ことばの芽生えと発達」by 中村勝則先生

中村勝則先生(元東京都保谷小学校他ことばの教室教員)が作成された資料をご紹介しております。

今回ご紹介するのは、「ことばの芽生えと発達」についての資料です。

この資料の中で、私が最も印象的だったのは、「序」にある、フリッツマウトナー(ボヘミア(現在のチェコスロバキアの西部・中部地方を示す)出身)の話について書かれている部分です。不思議な話だったので、中村先生はどういう意味でこの話を引用されているのかがとても気になりました。先生が引用されたのは、『ことばとは何かー言語学という冒険』(田中克彦著、講談社学術文庫2009)だったので、この本を読んでみました。

田中氏の本によると、フリッツマウトナーの話は、言語学の複雑や手に負えない大変さ?言語学という学問に安住していると、逆に大変な目に遭うこと、言語学によって殺されてしまうということの恐ろしさを、例え話を使って説明するために用いられたようです。

学んだ知識によって、何か信じ込むのではなくて、いつも信じてきたこと自体を疑問視するように、どんなお子さんに遭っても、既存の言語障害学の枠で見るのではなく、大切なことを見失わないように、ということをフリッツマウトナーの一口話を用いて教えてくださっているのだと思いました。

※資料の公開については、中村勝則先生の許可をいただいております。

(文責:宮本昌子)

ことばの芽生えと発達_中村勝則先生